このページでは、SCR950 [2017/05モデル]が搭載しているN609E型のV型2気筒941ccエンジンの諸元と出力、体重とパワーウェイトレシオの関係をシミュレーションしています。
N609E型エンジンの各種諸元と性能曲線図
![]() VN09J型 941cc [54PS/8.2kgm] | |
N609E型エンジンの簡易性能曲線図 | |
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エンジン種類 排気量 | V型2気筒 941cc |
最高出力 | 54PS |
3000rpm馬力 | 34.3PS |
最大トルク | 8.2kgm |
5500rpmトルク | 7.0kgm |
リッター換算馬力 | 57.3PS/L |
リッター換算トルク | 8.7kgm/L |
単気筒容積 | 471.0cc |
1気筒あたり馬力 | 27.0PS |
1気筒あたりトルク | 4.1kgm |
平均ピストン速度 | 15.2m/s |
Bore/Stroke比 | 0.98 |
ここからはN609E型エンジンの諸元から見えてくる出力特性を調べてみます。
上の図は最高出力が発生する回転数でのトルクと最大トルク、最大トルクが発生する回転数での馬力と最高出力とを線で繋いで折れ線グラフにしただけの簡易的なエンジン性能曲線図です。
これでは中間域の具合や5500rpm以降の馬力、トルクの落ち込み加減を知ることはできませんが、3000rpmでの最大トルク発生後、回転が高まるにつれてトルクが極端に落ちるのか、それともなだらかに下降するのかを知るくらいには使えるかもしれません。
エンジンのパワーバンドを最大トルクの3000rpmから最高出力の5500rpmまでの2500rpmとすると、実用回転数の実に45.5%という誰もが白目を剥きそうな極太パワーバンドが特長です。
パワーの出方としては、最大トルク8.2kgmを生じる3000rpmでは、最高出力の63.5%となる34.3PSを、最高出力54PSを生じる5500rpmでは、最大トルクの85.4%となる7.0kgmの出力を得られます。
排気量1リットルあたりの出力は馬力が54PS/0.941Lで57.3PS/L、トルクが8.2kgm/0.941Lで8.7kgm/Lとなっています。これは二輪車に搭載されるエンジンの出力としては下位にある部類で、勢い余って「もっとパワーを…!」と各方面に嘆願書を提出したくなるエンジンだと言えそうです。
ちなみに、V型2気筒941ccエンジンの単気筒容積は471.0ccで、この排気量を持った各気筒それぞれが27.0PS、4.1kgmを発生させています。
ストローク長が83.0mmであるN609E型エンジンの場合、平均ピストンスピードは5500rpmのとき15.2m/sで、これは二輪車のエンジンとしては一般的な速度の部類です。また上限を20.0m/sとしたときの最高回転数は7230rpmになります。
N609E型エンジンのボアは85.0mmですので、エンジンの特性を大まかに決定づけるボアストローク比は0.98のショートストローク型(ストローク量がボア径より小さい)となり、排気量と気筒数が同一のロングストローク型に比べて、高回転域のキレが持ち味であるとされます。
ボアアップによる排気量増と圧縮比
ボア | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
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85.0mm | 941.9cc - | 9.0 | 0.98 |
85.5mm | 953.1cc [+11.2cc] | 9.1 | 0.97 |
86.0mm | 964.2cc [+22.3cc] | 9.2 | 0.97 |
86.5mm | 975.5cc [+33.6cc] | 9.3 | 0.96 |
87.0mm | 986.8cc [+44.9cc] | 9.4 | 0.95 |
87.5mm | 998.2cc [+56.3cc] | 9.5 | 0.95 |
88.0mm | 1009.6cc [+67.7cc] | 9.6 | 0.94 |
エンジンの排気量はボアとストローク、気筒数によって決まり、圧縮比は排気量と燃焼室容積によって決まります。
ここでは実際に可能かどうかは別として、純正ピストンの85.0mmから+0.5mm刻みで+3.0mmまでのオーバーサイズピストンを組むと、排気量がノーマルの941.9ccからどのように変化するかを調べてみました。
これを見るに、ピストン径が0.5mm大きくなると排気量が約11.2ccずつ大きくなり、+3.0mmの88.0mmまでボアアップすると1009.6ccまで拡大(ノーマル比+7.2%)されます。
続いて燃焼室容積が58.9ccのまま変化しないと仮定したとき、ピストン径が+0.5mm大きくなるごとに圧縮比が9.0から約0.09ずつ高まっていき、同時にノッキングのリスクも高まっていきます。
ストローク長が83.0mmのままボアを広げていくと、ボアストローク比(B/S比)は0.98から次第に小さくなっていき、さらにショートストローク型の特性が強まって、高回転域で真価を発揮しやすい傾向になります。
※ナンバー付き車両でボアアップおよびストロークアップにより排気量を増大させた場合は、改造申請をして認可を受ける必要があります。また、せっかく排気量を増大させても、対応する免許を未取得であれば公道で乗ることができなくなりますのでご注意ください。
体重とパワーウェイトレシオのアヤシイ関係
PWR 4.67kg/PS | 341位/全839件 | ||
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体重 | PWR | 増加 |
体重40kg | 5.41kg/PS | +0.74kg |
体重45kg | 5.50kg/PS | +0.83kg |
体重50kg | 5.59kg/PS | +0.92kg |
体重55kg | 5.69kg/PS | +1.02kg |
体重60kg | 5.78kg/PS | +1.11kg |
体重65kg | 5.87kg/PS | +1.20kg |
体重70kg | 5.96kg/PS | +1.29kg |
体重75kg | 6.06kg/PS | +1.39kg |
体重80kg | 6.15kg/PS | +1.48kg |
体重90kg | 6.33kg/PS | +1.66kg |
体重100kg | 6.52kg/PS | +1.85kg |
さて、自動車と同じくバイクにおいてもパワーウェイトレシオは速さの指標としてよく使われています。
自動車ではもともとの車重が重いので、人間が1人2人乗ったところで目が飛び出るほどには変わりませんが、自動車に比べて車重が軽く、最高出力も小さめなバイクとなると話は別です。
最高出力が54PSで車両重量が252kgであるSCR950の場合、バイク単体では4.67kg/PSですが、たとえば車両総重量を決める際の基準である体重55kgの人が乗ると5.69kg/PS(+1.02kg)に、100kgの人では6.52kg/PS(+1.85kg)にまで悪化してしまいます。
同好の士と仲睦まじくサーキット走行しているとき、前に出てやろうと愛馬にムチを入れても埒が明かない。こんなときは「同じバイクのはずなのにどうも遅い…壊れてるんじゃあ…」などとバイクのせいにしたくなりますが、ちょっとお腹周りを眺めて見るとその答えが見つかりそうです。
PWRの優劣が速さの絶対的な指標ではありませんが、自動車のサイトで調べたパワーウェイトレシオの平均が9.52kg/PSでしたので、体重55kgの人が乗車した場合であっても自動車の平均を下回ります。スポーティな自動車と同じくらいか、やや上回る運動性能を誇ってると言えそうです。
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