Vストローム250 | J517型248cc直列2気筒エンジンの性能とPWR [24PS/2.2kgm 2017年]

このページでは、Vストローム250 [2017/07モデル]が搭載しているJ517型の直列/並列2気筒248ccエンジンの諸元と出力、体重とパワーウェイトレシオの関係をシミュレーションしています。

J517型エンジンの各種諸元と性能曲線図

スズキ [Vストローム250]
DS11A型 248cc [24PS/2.2kgm]
J517型エンジンの簡易性能曲線図
J517型エンジンの簡易性能曲線図
エンジン種類
排気量
直列/並列2気筒
248cc
最高出力24PS
6500rpm馬力20.0PS
最大トルク2.2kgm
8000rpmトルク2.1kgm
リッター換算馬力96.70PS/L
リッター換算トルク8.90kgm/L
単気筒容積124.1cc
1気筒あたり馬力12.0PS
1気筒あたりトルク1.1kgm
平均ピストン速度14.72m/s
Bore/Stroke比1.032
250cc以下の1L換算馬力ランキング
250cc以下の1L換算トルクランキング

ここからはJ517型エンジンの諸元から見えてくる出力特性を調べてみます。

上の図は最高出力が発生する回転数でのトルクと最大トルク、最大トルクが発生する回転数での馬力と最高出力とを線で繋いで折れ線グラフにしただけの簡易的なエンジン性能曲線図です。

これでは中間域の具合や8000rpm以降の馬力、トルクの落ち込み加減を知ることはできませんが、6500rpmでの最大トルク発生後、回転が高まるにつれてトルクが極端に落ちるのか、それともなだらかに下降するのかを知るくらいには使えるかもしれません。

エンジンのパワーバンドを最大トルクの6500rpmから最高出力の8000rpmまでの1500rpm(比率では18.8%)とすると、二輪車のエンジンとしては標準的な広さで、低中高とバランスのよい優等生的な性質を予感させます。

パワーの出方としては、最大トルク2.2kgmを生じる6500rpmでは、最高出力の83.3%となる20.0PSを、最高出力24PSを生じる8000rpmでは、最大トルクの95.5%となる2.1kgmの出力を得られます。

排気量1リットルあたりの出力は馬力が24PS/0.248Lで96.70PS/L、トルクが2.2kgm/0.248Lで8.90kgm/Lとなっています。これは二輪車に搭載されるエンジンの出力としては標準的な部類で、そこそこのパワーがあり扱いやすさも申し分ない攻守のバランスに優れているエンジンだと言えそうです。

ちなみに、直列/並列2気筒248ccエンジンの単気筒容積は124.1ccで、この排気量を持った各気筒それぞれが12.0PS、1.1kgmを発生させています。

最高出力が高い 直列・並列2気筒エンジンのバイク
排気量に関係なく、直列/並列2気筒エンジン搭載のバイクを、最高出力(馬力)が大きいものから順番に並べたランキングです。
最高出力が高い 250ccクラスのバイク
排気量が126cc-250ccの範囲にあるバイクを、最高出力(馬力)が大きいものから順番に並べたランキングです。
最高回転数が高い 250ccクラスのバイク
排気量が126cc-250ccの範囲にあるバイクを、最高回転数(最高出力が発生する回転数)が高いものから順番に並べたランキングです。

ストローク長が55.2mmであるJ517型エンジンの場合、平均ピストンスピードは8000rpmのとき14.72m/sで、これは二輪車のエンジンとしては一般的な速度の部類です。また上限を20.0m/sとしたときの最高回転数は10870rpmになります。

250cc以下の平均ピストンスピード ランキング

J517型エンジンのボアは53.5mmですので、エンジンの特性を大まかに決定づけるボアストローク比は1.032のロングストローク型(ストローク量がボア径より大きい)となり、排気量と気筒数が同一のショートストローク型に比べて、低回転域の粘りが光る傾向にあるとされます。


ボアアップによる排気量増と圧縮比

ボア排気量圧縮比B/S比
53.5mm248.2cc
-
11.51.032
54.0mm252.8cc
[+4.6cc]
11.71.022
54.5mm257.5cc
[+9.3cc]
11.91.013
55.0mm262.3cc
[+14.1cc]
12.11.004
55.5mm267.1cc
[+18.9cc]
12.30.995
56.0mm271.9cc
[+23.7cc]
12.50.986
56.5mm276.8cc
[+28.6cc]
12.70.977

エンジンの排気量はボアとストローク、気筒数によって決まり、圧縮比は排気量と燃焼室容積によって決まります。

ここでは実際に可能かどうかは別として、純正ピストンの53.5mmから+0.5mm刻みで+3.0mmまでのオーバーサイズピストンを組むと、排気量がノーマルの248.2ccからどのように変化するかを調べてみました。

これを見るに、ピストン径が0.5mm大きくなると排気量が約4.6ccずつ大きくなり、+3.0mmの56.5mmまでボアアップすると276.8ccまで拡大(ノーマル比+11.5%)されます。

続いて燃焼室容積が11.8ccのまま変化しないと仮定したとき、ピストン径が+0.5mm大きくなるごとに圧縮比が11.5から約0.21ずつ高まっていき、同時にノッキングのリスクも高まっていきます。

250cc以下の圧縮比が高いバイク ランキング

ストローク長が55.2mmのままボアを広げていくと、ボアストローク比(B/S比)は1.032から次第に小さくなっていき、ロングストローク型からスクエア型、ショートストローク型へと特性が変わっていきます。

※ナンバー付き車両でボアアップおよびストロークアップにより排気量を増大させた場合は、改造申請をして認可を受ける必要があります。また、せっかく排気量を増大させても、対応する免許を未取得であれば公道で乗ることができなくなりますのでご注意ください。


体重とパワーウェイトレシオのアヤシイ関係

PWR 7.833kg/PS | 600位/全916件
体重PWR増加
体重40kg9.500kg/PS+1.667kg
体重45kg9.708kg/PS+1.875kg
体重50kg9.917kg/PS+2.084kg
体重55kg10.125kg/PS+2.292kg
体重60kg10.333kg/PS+2.500kg
体重65kg10.542kg/PS+2.709kg
体重70kg10.750kg/PS+2.917kg
体重75kg10.958kg/PS+3.125kg
体重80kg11.167kg/PS+3.334kg
体重90kg11.583kg/PS+3.750kg
体重100kg12.000kg/PS+4.167kg
250cc以下のパワーウェイトレシオ

さて、自動車と同じくバイクにおいてもパワーウェイトレシオは速さの指標としてよく使われています。

自動車ではもともとの車重が重いので、人間が1人2人乗ったところで目が飛び出るほどには変わりませんが、自動車に比べて車重が軽く、最高出力も小さめなバイクとなると話は別です。

最高出力が24PSで車両重量が188kgであるVストローム250の場合、バイク単体では7.833kg/PSですが、たとえば車両総重量を決める際の基準である体重55kgの人が乗ると10.125kg/PS(+2.292kg)に、100kgの人では12.000kg/PS(+4.167kg)にまで悪化してしまいます。

同好の士と仲睦まじくサーキット走行しているとき、前に出てやろうと愛馬にムチを入れても埒が明かない。こんなときは「同じバイクのはずなのにどうも遅い…壊れてるんじゃあ…」などとバイクのせいにしたくなりますが、ちょっとお腹周りを眺めて見るとその答えが見つかりそうです。

PWRの優劣が速さの絶対的な指標ではありませんが、自動車のサイトで調べたパワーウェイトレシオの平均が9.52kg/PSでしたので、体重55kgの人が乗車している場合だと自動車の平均を上回ってしまいます。そこらを普通に走っているような自動車が相手でさえ、油断すれば後れを取ることになるかもしれません。


DS11A型Vストローム250 2017/07モデルの各種スペック詳細ページ

主要諸元
主要諸元と年間の維持費、燃費と航続距離

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ギヤ比と加速力&エンジン回転数と最高速

タイヤ
タイヤサイズ変更と加速力&最高速の変化

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GSX250R
DN11A型
(2017/04)
24PS
2.2kgm
32.5km/L
57.0万円