このページでは、TS200R [1996/02モデル]が搭載しているH102型の単気筒195ccエンジンの諸元と出力、体重とパワーウェイトレシオの関係をシミュレーションしています。
H102型エンジンの各種諸元と性能曲線図
スズキ [TS200R] SH12A型 195cc [35PS/3.0kgm] | |
H102型エンジンの簡易性能曲線図 | |
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エンジン種類 排気量 | 単気筒 195cc |
最高出力 | 35PS |
8000rpm馬力 | 33.5PS |
最大トルク | 3.0kgm |
8500rpmトルク | 2.9kgm |
リッター換算馬力 | 179.49PS/L |
リッター換算トルク | 15.38kgm/L |
平均ピストン速度 | 16.15m/s |
Bore/Stroke比 | 0.864 |
250cc以下の1L換算馬力ランキング | |
250cc以下の1L換算トルクランキング |
ここからはH102型エンジンの諸元から見えてくる出力特性を調べてみます。
上の図は最高出力が発生する回転数でのトルクと最大トルク、最大トルクが発生する回転数での馬力と最高出力とを線で繋いで折れ線グラフにしただけの簡易的なエンジン性能曲線図です。
これでは中間域の具合や8500rpm以降の馬力、トルクの落ち込み加減を知ることはできませんが、8000rpmでの最大トルク発生後、回転が高まるにつれてトルクが極端に落ちるのか、それともなだらかに下降するのかを知るくらいには使えるかもしれません。
エンジンのパワーバンドを最大トルクの8000rpmから最高出力の8500rpmまでの500rpm(比率では5.9%)とすると、気難しさが玉に瑕なれど、高回転域でのキレに全てを賭けた男気溢れる潔さが自慢です。
パワーの出方としては、最大トルク3.0kgmを生じる8000rpmでは、最高出力の95.7%となる33.5PSを、最高出力35PSを生じる8500rpmでは、最大トルクの96.7%となる2.9kgmの出力を得られます。
排気量1リットルあたりの出力は馬力が35PS/0.195Lで179.49PS/L、トルクが3.0kgm/0.195Lで15.38kgm/Lとなっています。これは二輪車に搭載されるエンジンの出力としてはかなり高い部類で、「これでもか!」というほどエンジンを搾り上げて究極のパワーを得ているエンジンだと言えそうです。
最高出力が高い 単気筒エンジンのバイク 排気量に関係なく、単気筒エンジン搭載のバイクを、最高出力(馬力)が大きいものから順番に並べたランキングです。 |
最高出力が高い 250ccクラスのバイク 排気量が126cc-250ccの範囲にあるバイクを、最高出力(馬力)が大きいものから順番に並べたランキングです。 |
最高回転数が高い 250ccクラスのバイク 排気量が126cc-250ccの範囲にあるバイクを、最高回転数(最高出力が発生する回転数)が高いものから順番に並べたランキングです。 |
ストローク長が57.0mmであるH102型エンジンの場合、平均ピストンスピードは8500rpmのとき16.15m/sで、これは二輪車のエンジンとしては一般的な速度の部類です。また上限を20.0m/sとしたときの最高回転数は10530rpmになります。
H102型エンジンのボアは66.0mmですので、エンジンの特性を大まかに決定づけるボアストローク比は0.864のショートストローク型(ストローク量がボア径より小さい)となり、排気量と気筒数が同一のロングストローク型に比べて、高回転域のキレが持ち味であるとされます。
ボアアップによる排気量増と圧縮比
ボア | 排気量 | 圧縮比 | B/S比 |
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66.0mm | 195.0cc - | 6.6 | 0.864 |
66.5mm | 198.0cc [+3.0cc] | 6.7 | 0.857 |
67.0mm | 201.0cc [+6.0cc] | 6.8 | 0.851 |
67.5mm | 204.0cc [+9.0cc] | 6.9 | 0.844 |
68.0mm | 207.0cc [+12.0cc] | 6.9 | 0.838 |
68.5mm | 210.1cc [+15.1cc] | 7.0 | 0.832 |
69.0mm | 213.1cc [+18.1cc] | 7.1 | 0.826 |
エンジンの排気量はボアとストローク、気筒数によって決まり、圧縮比は排気量と燃焼室容積によって決まります。
ここでは実際に可能かどうかは別として、純正ピストンの66.0mmから+0.5mm刻みで+3.0mmまでのオーバーサイズピストンを組むと、排気量がノーマルの195.0ccからどのように変化するかを調べてみました。
これを見るに、ピストン径が0.5mm大きくなると排気量が約3.0ccずつ大きくなり、+3.0mmの69.0mmまでボアアップすると213.1ccまで拡大(ノーマル比+9.3%)されます。
続いて燃焼室容積が34.8ccのまま変化しないと仮定したとき、ピストン径が+0.5mm大きくなるごとに圧縮比が6.6から約0.09ずつ高まっていき、同時にノッキングのリスクも高まっていきます。
ストローク長が57.0mmのままボアを広げていくと、ボアストローク比(B/S比)は0.864から次第に小さくなっていき、元よりショートストローク型だった特性がさらに強まって、高回転スペシャルの様相を呈してきます。
※ナンバー付き車両でボアアップおよびストロークアップにより排気量を増大させた場合は、改造申請をして認可を受ける必要があります。また、せっかく排気量を増大させても、対応する免許を未取得であれば公道で乗ることができなくなりますのでご注意ください。
体重とパワーウェイトレシオのアヤシイ関係
PWR 3.629kg/PS | 247位/全916件 | ||
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体重 | PWR | 増加 |
体重40kg | 4.771kg/PS | +1.142kg |
体重45kg | 4.914kg/PS | +1.285kg |
体重50kg | 5.057kg/PS | +1.428kg |
体重55kg | 5.200kg/PS | +1.571kg |
体重60kg | 5.343kg/PS | +1.714kg |
体重65kg | 5.486kg/PS | +1.857kg |
体重70kg | 5.629kg/PS | +2.000kg |
体重75kg | 5.771kg/PS | +2.142kg |
体重80kg | 5.914kg/PS | +2.285kg |
体重90kg | 6.200kg/PS | +2.571kg |
体重100kg | 6.486kg/PS | +2.857kg |
250cc以下のパワーウェイトレシオ |
さて、自動車と同じくバイクにおいてもパワーウェイトレシオは速さの指標としてよく使われています。
自動車ではもともとの車重が重いので、人間が1人2人乗ったところで目が飛び出るほどには変わりませんが、自動車に比べて車重が軽く、最高出力も小さめなバイクとなると話は別です。
最高出力が35PSで車両重量が127kgであるTS200Rの場合、バイク単体では3.629kg/PSですが、たとえば車両総重量を決める際の基準である体重55kgの人が乗ると5.200kg/PS(+1.571kg)に、100kgの人では6.486kg/PS(+2.857kg)にまで悪化してしまいます。
同好の士と仲睦まじくサーキット走行しているとき、前に出てやろうと愛馬にムチを入れても埒が明かない。こんなときは「同じバイクのはずなのにどうも遅い…壊れてるんじゃあ…」などとバイクのせいにしたくなりますが、ちょっとお腹周りを眺めて見るとその答えが見つかりそうです。
PWRの優劣が速さの絶対的な指標ではありませんが、自動車のサイトで調べたパワーウェイトレシオの平均が9.52kg/PSでしたので、体重55kgの人が乗車した場合であっても自動車の平均を下回ります。スポーティな自動車と同じくらいか、やや上回る運動性能を誇ってると言えそうです。
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