テンプター | 5MTのギヤ比と加速・最高速 [152km/h NK43A型 1997年]

このページでは、テンプター [1997/04モデル]が搭載している5MTのギヤ比(歯車比・減速比)と駆動力、エンジン回転数と最高速(トップスピード)との関係をシミュレーションしています。

ギヤ比(歯車比・減速比)と加速と最高速のステキな関係

スズキ [テンプター]
NK43A型 396cc [27PS/3.0kgm]
純正ギヤの繋がりイメージ
ギヤギヤ比Shift-up
回転数
100kmh
回転数
7000rpm
での速度
[速度差]
1速2.333
[15.524]
-1287054.4
[ - ]
2速1.578
[10.500]
4730870080.4
[+26.0]
3速1.142
[7.599]
50706300111.1
[+30.7]
4速0.956
[6.361]
58605270132.7
[+21.6]
5速0.833
[5.543]
61004590152.3
[+19.6]
Fin6.654タイヤ外径640mm
レシオカバレッジ2.801

さて、NK43A型テンプターの変速機にはレシオカバレッジ2.801という、ややクロスレシオ気味で最高速よりも加速の良さを重視した5MTが採用されています。

これを速度の面から見てみると、1速ギヤ(2.333)の最高速54.4km/hから、最も高い5速ギヤ(0.833)の最高速152.3km/hまでの速度間(速度差は97.9km/h)を、3段のギヤで刻んで速度を上乗せしていく格好になります。

一覧表のギヤ比欄の下にある[]で囲まれた数値は、それぞれのギヤ比と一次減速比2.218および二次減速比3.000を掛けた総減速比を表記しています。

また「Shift-up回転数」は、たとえば1速ギヤで7000rpmまで回して2速ギヤにシフトアップした際に、1速ギヤと2速ギヤのステップ比(0.676)から考えると7000rpmから4730rpmまで落ちますよ、というものです。

ステップ比が大きくてシフトアップ後に回転が落ちすぎてしまい、パワーバンドを大きく外すような場合には、7000rpmより上まで回したほうが加速の雰囲気が良くなるでしょうし、逆の場合は早め早めのシフトアップが結果的に功を奏す、かもしれません。

最高出力が発生する7000rpmにおいて、最も高い5速ギヤのギヤ比0.833での速度は152.3km/h、時速100kmでの回転数は4590rpmになります。

152.3km/hという速度はその気になれば免許証が何枚あっても、命がいくつあっても足りないくらいの速度ですので、バイクとしては高速道路を走るのに不足はなくとも、人間のほうにリミッターをかけるタフな精神力が必要になりそうです。

また、最高出力が発生する回転数の半分を少し上回るくらいの回転数で時速100kmが出るので、高速道路では「もう1段上のギヤがあったらなあ…」と思うことがあるかもしれません。

400cc以下の100km/h回転数が低いバイク ランキング

巡航時の回転数を比較的簡単に下げる方法としては、タイヤの外径を大きくする、またはフロントスプロケットの歯数を15丁から増やす、もしくはリヤスプロケットの歯数を45丁より減らすという方法があります。


レブリミットと最高速|7000rpm以降の速度


5000
rpm
7000
rpm
7700
rpm
8400
rpm
9100
rpm
1速38.954.459.865.370.7
2速57.480.488.596.5104.5
3速79.4111.1122.2133.4144.5
4速94.8132.7146.0159.3172.6
5速108.8152.3167.6182.8198.1
PS10.915.2116.718.319.8

最高速度に大きく関係するのは最高出力ですが、ギヤ比とタイヤ径、そしてエンジン回転数を抜きにして語ることはできません。

エンジンのレブリミット(何回転まで回るのか)については、エンジンの仕様や制御方法によりけりで多種多様すぎますので、ここでは単純に最高出力が発生する7000rpmを基準として、1割増の7700rpm、2割増の8400rpm、3割増の9100rpmまで回ったとしたら、このくらいの速度になりますよ、という一覧表を作ってみました。(5000rpmは最大トルク発生回転数)

※エンジンのレブリミットは最高出力が発生する7000rpmより若干高い回転数に設定されますが、エンジンの出力は7000rpmをピークとして以降は低下する一方ですので、7000rpm以降も加速できるかどうかは未知数です。実際の最高速は走行抵抗と出力が釣り合った時点の速度になります。

オレンジ色に着色してある欄には、それぞれの回転数での平均ピストン速度を記してあります。この速度はエンジンの回転数上限を左右する要素のひとつとされ、7000rpmでの15.21m/sから回転数が増すごとに速くなり、9100rpmでは19.8m/sになります。


巡航時によくある速度での回転数

ギヤ40kmh60kmh80kmh100kmh120kmh
1速51507720102901287015440
2速348052206960870010440
3速25203780504063007560
4速21103160422052706330
5速18402760368045905510

ここでは1速から5速までのそれぞれのギヤごとに、それぞれの速度でどのくらいエンジンが回っているのかを調べてみます。

5速ギヤの場合、40km/hでは1840rpm、60km/hでは2760rpm、高速道路によくある80km/hでは3680rpm、100km/hでは4590rpm、制限速度が120km/hになると5510rpmまで回す必要が生じます。

ちなみに、エンジン出力と回転数、ギヤ比が深く関係するので到達できる車種は限られますが、スピードリミッターが働く180km/hでは8270rpm、さらに車種は限られますが300km/hでは13780rpmまで回ります。


5000rpmと7000rpmの駆動力とトルクウェイトレシオ

最大トルク3.0kgm|車両重量173kg
ギヤ5000rpm
駆動力とTWR
7000rpm
駆動力とTWR
差分
1速145.5kgm
[1.19kg/kgm]
135.8kgm
[1.27kg/kgm]
-9.7
[+0.08]
2速98.4kgm
[1.76kg/kgm]
91.9kgm
[1.88kg/kgm]
-6.5
[+0.12]
3速71.2kgm
[2.43kg/kgm]
66.5kgm
[2.60kg/kgm]
-4.7
[+0.17]
4速59.6kgm
[2.90kg/kgm]
55.7kgm
[3.11kg/kgm]
-3.9
[+0.21]
5速52.0kgm
[3.33kg/kgm]
48.5kgm
[3.57kg/kgm]
-3.5
[+0.24]
PWR8.28kg/PS6.407kg/PS-1.87

エンジンから発生する最大トルク3.0kgmは、ギヤを介して減速する(回転数を落とす)ことで、まるで倍々ゲームのごとく増大して最終的には元の何十倍、何百倍にもなります。

たとえば1速ギヤの場合、エンジンの軸トルク3.0kgmが1速ギヤを介して2.333倍に、さらに一次減速比と二次減速比で6.654倍に、そしてこれをタイヤの半径で割ると最終的な駆動力は145.5kgmになるという寸法です。

このエンジンは7000rpmで27PSを発生しますから、その時点での軸トルクは2.8kgm、同じ要領で計算すると最終的には135.8kgmになります。

基本的にはこの数値が大きいほど地面を蹴って進もうとする力が強く、5000rpmと7000rpmとの落差が小さいほど高回転域でのトルクの低下が少ない、つまり加速感が持続すると言えるかもしれません。

[]内の数値は、最大トルク発生時(3.0kgm/5000rpm)での各ギヤの駆動力を、車両重量の173kgで割ったトルクウェイトレシオで、最小は1速ギヤの1.19kg/kgmとなっています。

この1.19kg/kgmという数値はバイクの中では平均的なスペックですが、その気になれば思わず息を呑むほどの痛快なスタートダッシュを決めることができそうです。

ちなみに、自動車のサイトで集計した1速ギヤTWRの平均が1.60kg/kgmでしたので、巷に良くある一般的な自動車と同等か、やや上回るゼロスタート性能を持っていると言えそうです。


前後スプロケットと加速力および最高速の熱烈な関係

ここからは部品があるかどうか、装着できるかどうかは度外視して、前後のスプロケットの歯数(丁数とも)を変更することで時速100kmでの回転数や、最も高いギヤ比における7000rpmでの速度、1速ギヤでの最大駆動力がどのように変化するかを調べてみます。

フロントスプロケット(ドライブスプロケット)を変更

フロントスプロケット(15丁)の歯数を変更

歯数

歯数
100kmh
回転数
[rpm]
7000rpm
最高速
[km/h]
1速最大
駆動力
[kgm]
12丁45丁5740121.9181.9
13丁5300132.0167.9
14丁4920142.2155.9
15丁4590152.3145.5
16丁4310162.5136.4
17丁4050172.7128.4
18丁3830182.8121.3
前スプロケ歯数と各ギヤの最高速度
ギヤ14丁15丁16丁17丁
1速50.854.458.061.7
2速75.180.485.891.1
3速103.7111.1118.6125.9
4速123.9132.7141.6150.5
5速142.2152.3162.5172.7

NK43A型テンプターのフロントスプロケットは15丁ですので、これを3丁少ない12丁から3丁多い18丁まで変化させてみました。

ノーマルの15丁では時速100kmでの回転数が4590rpm、7000rpmでの速度が152.3km/h、最大駆動力が145.5kgmとなっています。

そこから12丁に減らすとギヤ比は低くなる方向に傾き、回転数が5740rpmまで上昇、速度は121.9km/hまで低下、最大駆動力は181.9kgmに向上し、最高速と引き換えに加速力を手に入れる格好になります。

3丁増やすとギヤ比は高くなる方向に傾き、回転数は3830rpmに低下、速度は182.8km/hに上昇、最大駆動力は121.3kgmに下落し、今度は加速力と引き換えに最高速を手に入れる格好になります。

この場合、巡航回転数が下がり、最高速も大きくなり、燃費も向上しそうな点がいかにも魅力的ではありますが、うっかりエンジン特性や出力に見合わぬ高いギヤ比に設定してしまうと、特にゼロ発進時においてウンともスンとも言わない激烈な鈍足マシンに豹変しかねません。


リヤスプロケット(ドリブンスプロケット)を変更

リヤスプロケット(45丁)の歯数を変更

歯数

歯数
100kmh
回転数
[rpm]
7000rpm
最高速
[km/h]
1速最大
駆動力
[kgm]
15丁42丁4290163.2135.8
43丁4390159.4139.1
44丁4490155.8142.3
45丁4590152.3145.5
46丁4700149.0148.8
47丁4800145.9152.0
48丁4900142.8155.2
後スプロケ歯数と各ギヤの最高速度
ギヤ43丁44丁45丁46丁47丁
1速56.955.654.453.252.1
2速84.282.380.478.777.0
3速116.3113.7111.1108.7106.4
4速138.9135.8132.7129.8127.1
5速159.4155.8152.3149.0145.9

続いてリヤスプロケットの歯数を純正の45丁から変更した場合を見てみます。

リヤはフロントとは逆で、歯数を減らすことでギヤ比が高くなって最高速が伸び、増やすことでギヤ比が低くなって加速力が増していきます。

また、リヤはもともとの歯数が多いのでフロントの1丁ほどのインパクトはなく、1丁減らしたから、増やしたからといってもびっくりするほどには変わりません。

フロントを14丁にして加速重視か、16丁にして最高速重視かの大まかな方向性を決め、リヤの増減で微調整をする、あるいはフロントは15丁のままリヤの増減で味付けを変えるなど、スプロケット選びは考えるだけでもワクワクしてきて希望いっぱい夢いっぱいです。

※スプロケットの歯数を変更すると、車種によってはスピードメーターに誤差を生じる場合があります。メーター誤差が過大になると車検に合格しませんし、特に最高速が伸びる方向へのスプロケ交換においては、思わぬスピード違反切符に涙を流すことにも繋がりますのでご注意ください。


NK43A型テンプター 1997/04モデルの各種スペック詳細ページ

主要諸元
主要諸元と年間の維持費、燃費と航続距離

エンジン
エンジン性能と特性、パワーウェイトレシオ

タイヤ
タイヤサイズ変更と加速力&最高速の変化

通知表
さまざまな性能評価の数値と偏差値&順位