CRM50 | AC08E型49cc単気筒エンジンの性能とPWR [7.2PS/0.63kgm 1993年]

このページでは、CRM50 [1993/04モデル]が搭載しているAC08E型の単気筒49ccエンジンの諸元と出力、体重とパワーウェイトレシオの関係をシミュレーションしています。

AC08E型エンジンの各種諸元と性能曲線図

ホンダ [CRM50]
AD13型 49cc [7.2PS/0.63kgm]
AC08E型エンジンの簡易性能曲線図
AC08E型エンジンの簡易性能曲線図
エンジン種類
排気量
単気筒
49cc
最高出力7.2PS
7500rpm馬力6.6PS
最大トルク0.63kgm
9500rpmトルク0.54kgm
リッター換算馬力145.45PS/L
リッター換算トルク12.73kgm/L
平均ピストン速度13.11m/s
Bore/Stroke比1.062
50cc以下の1L換算馬力ランキング
50cc以下の1L換算トルクランキング

ここからはAC08E型エンジンの諸元から見えてくる出力特性を調べてみます。

上の図は最高出力が発生する回転数でのトルクと最大トルク、最大トルクが発生する回転数での馬力と最高出力とを線で繋いで折れ線グラフにしただけの簡易的なエンジン性能曲線図です。

これでは中間域の具合や9500rpm以降の馬力、トルクの落ち込み加減を知ることはできませんが、7500rpmでの最大トルク発生後、回転が高まるにつれてトルクが極端に落ちるのか、それともなだらかに下降するのかを知るくらいには使えるかもしれません。

エンジンのパワーバンドを最大トルクの7500rpmから最高出力の9500rpmまでの2000rpm(比率では21.1%)とすると、二輪車のエンジンとしては標準的な広さで、低中高とバランスのよい優等生的な性質を予感させます。

パワーの出方としては、最大トルク0.63kgmを生じる7500rpmでは、最高出力の91.7%となる6.6PSを、最高出力7.2PSを生じる9500rpmでは、最大トルクの85.7%となる0.54kgmの出力を得られます。

排気量1リットルあたりの出力は馬力が7.2PS/0.049Lで145.45PS/L、トルクが0.63kgm/0.049Lで12.73kgm/Lとなっています。これは二輪車に搭載されるエンジンの出力としてはかなり高い部類で、「これでもか!」というほどエンジンを搾り上げて究極のパワーを得ているエンジンだと言えそうです。

最高出力が高い 単気筒エンジンのバイク
排気量に関係なく、単気筒エンジン搭載のバイクを、最高出力(馬力)が大きいものから順番に並べたランキングです。
最高出力が高い 50ccクラスのバイク
排気量が50cc以下の範囲にあるバイクを、最高出力(馬力)が大きいものから順番に並べたランキングです。
最高回転数が高い 50ccクラスのバイク
排気量が50cc以下の範囲にあるバイクを、最高回転数(最高出力が発生する回転数)が高いものから順番に並べたランキングです。

ストローク長が41.4mmであるAC08E型エンジンの場合、平均ピストンスピードは9500rpmのとき13.11m/sで、これは二輪車のエンジンとしては平均よりやや遅い部類です。また上限を20.0m/sとしたときの最高回転数は14490rpmになります。

50cc以下の平均ピストンスピード ランキング

AC08E型エンジンのボアは39.0mmですので、エンジンの特性を大まかに決定づけるボアストローク比は1.062のロングストローク型(ストローク量がボア径より大きい)となり、排気量と気筒数が同一のショートストローク型に比べて、低回転域の粘りが光る傾向にあるとされます。


ボアアップによる排気量増と圧縮比

ボア排気量圧縮比B/S比
39.0mm49.5cc
-
7.21.062
39.5mm50.7cc
[+1.2cc]
7.31.048
40.0mm52.0cc
[+2.5cc]
7.51.035
40.5mm53.3cc
[+3.8cc]
7.71.022
41.0mm54.7cc
[+5.2cc]
7.81.010
41.5mm56.0cc
[+6.5cc]
8.00.998
42.0mm57.4cc
[+7.9cc]
8.20.986

エンジンの排気量はボアとストローク、気筒数によって決まり、圧縮比は排気量と燃焼室容積によって決まります。

ここでは実際に可能かどうかは別として、純正ピストンの39.0mmから+0.5mm刻みで+3.0mmまでのオーバーサイズピストンを組むと、排気量がノーマルの49.5ccからどのように変化するかを調べてみました。

これを見るに、ピストン径が0.5mm大きくなると排気量が約1.2ccずつ大きくなり、+3.0mmの42.0mmまでボアアップすると57.4ccまで拡大(ノーマル比+16.0%)されます。

続いて燃焼室容積が8.0ccのまま変化しないと仮定したとき、ピストン径が+0.5mm大きくなるごとに圧縮比が7.2から約0.14ずつ高まっていき、同時にノッキングのリスクも高まっていきます。

50cc以下の圧縮比が高いバイク ランキング

ストローク長が41.4mmのままボアを広げていくと、ボアストローク比(B/S比)は1.062から次第に小さくなっていき、ロングストローク型からスクエア型、ショートストローク型へと特性が変わっていきます。

※ナンバー付き車両でボアアップおよびストロークアップにより排気量を増大させた場合は、改造申請をして認可を受ける必要があります。また、せっかく排気量を増大させても、対応する免許を未取得であれば公道で乗ることができなくなりますのでご注意ください。


体重とパワーウェイトレシオのアヤシイ関係

PWR 11.667kg/PS | 746位/全916件
体重PWR増加
体重40kg17.222kg/PS+5.555kg
体重45kg17.917kg/PS+6.250kg
体重50kg18.611kg/PS+6.944kg
体重55kg19.306kg/PS+7.639kg
体重60kg20.000kg/PS+8.333kg
体重65kg20.694kg/PS+9.027kg
体重70kg21.389kg/PS+9.722kg
体重75kg22.083kg/PS+10.416kg
体重80kg22.778kg/PS+11.111kg
体重90kg24.167kg/PS+12.500kg
体重100kg25.556kg/PS+13.889kg
50cc以下のパワーウェイトレシオ

さて、自動車と同じくバイクにおいてもパワーウェイトレシオは速さの指標としてよく使われています。

自動車ではもともとの車重が重いので、人間が1人2人乗ったところで目が飛び出るほどには変わりませんが、自動車に比べて車重が軽く、最高出力も小さめなバイクとなると話は別です。

最高出力が7.2PSで車両重量が84kgであるCRM50の場合、バイク単体では11.667kg/PSですが、たとえば車両総重量を決める際の基準である体重55kgの人が乗ると19.306kg/PS(+7.639kg)に、100kgの人では25.556kg/PS(+13.889kg)にまで悪化してしまいます。

同好の士と仲睦まじくサーキット走行しているとき、前に出てやろうと愛馬にムチを入れても埒が明かない。こんなときは「同じバイクのはずなのにどうも遅い…壊れてるんじゃあ…」などとバイクのせいにしたくなりますが、ちょっとお腹周りを眺めて見るとその答えが見つかりそうです。

PWRの優劣が速さの絶対的な指標ではありませんが、自動車のサイトで調べたパワーウェイトレシオの平均が9.52kg/PSでしたので、体重55kgの人が乗車している場合だと自動車の平均を上回ってしまいます。そこらを普通に走っているような自動車が相手でさえ、油断すれば後れを取ることになるかもしれません。


AD13型CRM50 1993/04モデルの各種スペック詳細ページ

主要諸元
主要諸元と年間の維持費、燃費と航続距離

ギヤ比
ギヤ比と加速力&エンジン回転数と最高速

タイヤ
タイヤサイズ変更と加速力&最高速の変化

通知表
さまざまな性能評価の数値と偏差値&順位
【エンジン編】同車名または同型式の車種一覧
NS-1
AC12型
(1995/02)
7.2PS
0.65kgm
55.3km/L
27.4万円
NSR50
AC10型
(1995/02)
7.2PS
0.65kgm
59.2km/L
27.4万円
NS50F
[Aero]
AC08型
(1988/02)
7.2PS
0.65kgm
61.5km/L
27.4万円
CRM50
AD10型
(1988/02)
7.2PS
0.63kgm
55.2km/L
27.4万円
NSR50
AC10型
(1987/06)
7.2PS
0.65kgm
61.4km/L
27.4万円