このページでは、RVF [1994/01モデル]が搭載している6MTのギヤ比(歯車比・減速比)と駆動力、エンジン回転数と最高速(トップスピード)との関係をシミュレーションしています。
ギヤ比(歯車比・減速比)と加速と最高速のステキな関係
ホンダ [RVF] NC35型 399cc [53PS/3.7kgm] | ||||
純正ギヤの繋がりイメージ | ||||
ギヤ | ギヤ比 | Shift-up 回転数 | 100kmh 回転数 | 12500rpm での速度 [速度差] |
---|---|---|---|---|
1速 | 3.307 [17.732] | - | 15370 | 81.3 [ - ] |
2速 | 2.352 [12.611] | 8890 | 10930 | 114.3 [+33.0] |
3速 | 1.875 [10.054] | 9960 | 8720 | 143.4 [+29.1] |
4速 | 1.590 [8.526] | 10600 | 7390 | 169.1 [+25.7] |
5速 | 1.434 [7.689] | 11280 | 6670 | 187.5 [+18.4] |
6速 | 1.318 [7.067] | 11490 | 6130 | 204.0 [+16.5] |
Fin | 5.362 | タイヤ外径612mm レシオカバレッジ2.509 |
さて、NC35型RVFの変速機にはレシオカバレッジ2.509という、超が付くほどのクロスレシオで加速性能とギヤの繋がりを最重要視したような6MTが採用されています。
これを速度の面から見てみると、1速ギヤ(3.307)の最高速81.3km/hから、最も高い6速ギヤ(1.318)の最高速204.0km/hまでの速度間(速度差は122.7km/h)を、4段のギヤで刻んで速度を上乗せしていく格好になります。
一覧表のギヤ比欄の下にある[]で囲まれた数値は、それぞれのギヤ比と一次減速比2.117および二次減速比2.533を掛けた総減速比を表記しています。
また「Shift-up回転数」は、たとえば1速ギヤで12500rpmまで回して2速ギヤにシフトアップした際に、1速ギヤと2速ギヤのステップ比(0.711)から考えると12500rpmから8890rpmまで落ちますよ、というものです。
ステップ比が大きくてシフトアップ後に回転が落ちすぎてしまい、パワーバンドを大きく外すような場合には、12500rpmより上まで回したほうが加速の雰囲気が良くなるでしょうし、逆の場合は早め早めのシフトアップが結果的に功を奏す、かもしれません。
最高出力が発生する12500rpmにおいて、最も高い6速ギヤのギヤ比1.318での速度は204.0km/h、時速100kmでの回転数は6130rpmになります。
最高速という視点で見ると、高速道路を走行するにしてもこんな速度が出せる必要はないのですが、裏を返せば巡航回転数を低く保てるということでもあります。不届き者を前にどれだけ血が滾ろうとも、逸る気持ちをぐっと抑えて大人の余裕を見せてあげましょう。
また、最高出力が発生する回転数の半分を少し下回るくらいの回転数で時速100kmが出せるので、高すぎず低すぎもしないストレスフリーな高速クルージングが可能となりそうです。
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巡航時の回転数を比較的簡単に下げる方法としては、タイヤの外径を大きくする、またはフロントスプロケットの歯数を15丁から増やす、もしくはリヤスプロケットの歯数を38丁より減らすという方法があります。
レブリミットと最高速|12500rpm以降の速度
10000 rpm | 12500 rpm | 13800 rpm | 15000 rpm | 16300 rpm | |
---|---|---|---|---|---|
1速 | 65.1 | 81.3 | 89.8 | 97.6 | 106.0 |
2速 | 91.5 | 114.3 | 126.2 | 137.2 | 149.1 |
3速 | 114.7 | 143.4 | 158.3 | 172.1 | 187.0 |
4速 | 135.3 | 169.1 | 186.7 | 202.9 | 220.5 |
5速 | 150.0 | 187.5 | 207.0 | 225.0 | 244.5 |
6速 | 163.2 | 204.0 | 225.2 | 244.8 | 266.0 |
PS | 14.0 | 17.50 | 19.3 | 21.0 | 22.8 |
最高速度に大きく関係するのは最高出力ですが、ギヤ比とタイヤ径、そしてエンジン回転数を抜きにして語ることはできません。
エンジンのレブリミット(何回転まで回るのか)については、エンジンの仕様や制御方法によりけりで多種多様すぎますので、ここでは単純に最高出力が発生する12500rpmを基準として、1割増の13800rpm、2割増の15000rpm、3割増の16300rpmまで回ったとしたら、このくらいの速度になりますよ、という一覧表を作ってみました。(10000rpmは最大トルク発生回転数)
※エンジンのレブリミットは最高出力が発生する12500rpmより若干高い回転数に設定されますが、エンジンの出力は12500rpmをピークとして以降は低下する一方ですので、12500rpm以降も加速できるかどうかは未知数です。実際の最高速は走行抵抗と出力が釣り合った時点の速度になります。
オレンジ色に着色してある欄には、それぞれの回転数での平均ピストン速度を記してあります。この速度はエンジンの回転数上限を左右する要素のひとつとされ、12500rpmでの17.50m/sから回転数が増すごとに速くなり、16300rpmでは22.8m/sになります。
巡航時によくある速度での回転数
ギヤ | 40kmh | 60kmh | 80kmh | 100kmh | 120kmh |
---|---|---|---|---|---|
1速 | 6150 | 9220 | 12300 | 15370 | 18450 |
2速 | 4370 | 6560 | 8750 | 10930 | 13120 |
3速 | 3490 | 5230 | 6970 | 8720 | 10460 |
4速 | 2960 | 4430 | 5910 | 7390 | 8870 |
5速 | 2670 | 4000 | 5330 | 6670 | 8000 |
6速 | 2450 | 3680 | 4900 | 6130 | 7350 |
ここでは1速から6速までのそれぞれのギヤごとに、それぞれの速度でどのくらいエンジンが回っているのかを調べてみます。
6速ギヤの場合、40km/hでは2450rpm、60km/hでは3680rpm、高速道路によくある80km/hでは4900rpm、100km/hでは6130rpm、制限速度が120km/hになると7350rpmまで回す必要が生じます。
ちなみに、エンジン出力と回転数、ギヤ比が深く関係するので到達できる車種は限られますが、スピードリミッターが働く180km/hでは11030rpm、さらに車種は限られますが300km/hでは18380rpmまで回ります。
10000rpmと12500rpmの駆動力とトルクウェイトレシオ
最大トルク3.7kgm|車両重量183kg | |||
---|---|---|---|
ギヤ | 10000rpm 駆動力とTWR | 12500rpm 駆動力とTWR | 差分 |
1速 | 214.4kgm [0.85kg/kgm] | 173.9kgm [1.05kg/kgm] | -40.5 [+0.20] |
2速 | 152.5kgm [1.20kg/kgm] | 123.6kgm [1.48kg/kgm] | -28.9 [+0.28] |
3速 | 121.6kgm [1.50kg/kgm] | 98.6kgm [1.86kg/kgm] | -23.0 [+0.36] |
4速 | 103.1kgm [1.77kg/kgm] | 83.6kgm [2.19kg/kgm] | -19.5 [+0.42] |
5速 | 93.0kgm [1.97kg/kgm] | 75.4kgm [2.43kg/kgm] | -17.6 [+0.46] |
6速 | 85.5kgm [2.14kg/kgm] | 69.3kgm [2.64kg/kgm] | -16.2 [+0.50] |
PWR | 3.54kg/PS | 3.453kg/PS | -0.09 |
エンジンから発生する最大トルク3.7kgmは、ギヤを介して減速する(回転数を落とす)ことで、まるで倍々ゲームのごとく増大して最終的には元の何十倍、何百倍にもなります。
たとえば1速ギヤの場合、エンジンの軸トルク3.7kgmが1速ギヤを介して3.307倍に、さらに一次減速比と二次減速比で5.362倍に、そしてこれをタイヤの半径で割ると最終的な駆動力は214.4kgmになるという寸法です。
このエンジンは12500rpmで53PSを発生しますから、その時点での軸トルクは3.0kgm、同じ要領で計算すると最終的には173.9kgmになります。
基本的にはこの数値が大きいほど地面を蹴って進もうとする力が強く、10000rpmと12500rpmとの落差が小さいほど高回転域でのトルクの低下が少ない、つまり加速感が持続すると言えるかもしれません。
[]内の数値は、最大トルク発生時(3.7kgm/10000rpm)での各ギヤの駆動力を、車両重量の183kgで割ったトルクウェイトレシオで、最小は1速ギヤの0.85kg/kgmとなっています。
この0.85kg/kgmという数値はバイクの中では平均的なスペックですが、その気になれば思わず息を呑むほどの痛快なスタートダッシュを決めることができそうです。
ちなみに、自動車のサイトで集計した1速ギヤTWRの平均が1.60kg/kgmでしたので、(少なくとも1速ギヤが吹け切るまでは)並大抵の自動車では太刀打ちできないものと思われます。
前後スプロケットと加速力および最高速の熱烈な関係
ここからは部品があるかどうか、装着できるかどうかは度外視して、前後のスプロケットの歯数(丁数とも)を変更することで時速100kmでの回転数や、最も高いギヤ比における12500rpmでの速度、1速ギヤでの最大駆動力がどのように変化するかを調べてみます。
フロントスプロケット(ドライブスプロケット)を変更
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NC35型RVFのフロントスプロケットは15丁ですので、これを3丁少ない12丁から3丁多い18丁まで変化させてみました。
ノーマルの15丁では時速100kmでの回転数が6130rpm、12500rpmでの速度が204.0km/h、最大駆動力が214.4kgmとなっています。
そこから12丁に減らすとギヤ比は低くなる方向に傾き、回転数が7660rpmまで上昇、速度は163.2km/hまで低下、最大駆動力は268.1kgmに向上し、最高速と引き換えに加速力を手に入れる格好になります。
3丁増やすとギヤ比は高くなる方向に傾き、回転数は5110rpmに低下、速度は244.8km/hに上昇、最大駆動力は178.7kgmに下落し、今度は加速力と引き換えに最高速を手に入れる格好になります。
この場合、巡航回転数が下がり、最高速も大きくなり、燃費も向上しそうな点がいかにも魅力的ではありますが、うっかりエンジン特性や出力に見合わぬ高いギヤ比に設定してしまうと、特にゼロ発進時においてウンともスンとも言わない激烈な鈍足マシンに豹変しかねません。
リヤスプロケット(ドリブンスプロケット)を変更
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続いてリヤスプロケットの歯数を純正の38丁から変更した場合を見てみます。
リヤはフロントとは逆で、歯数を減らすことでギヤ比が高くなって最高速が伸び、増やすことでギヤ比が低くなって加速力が増していきます。
また、リヤはもともとの歯数が多いのでフロントの1丁ほどのインパクトはなく、1丁減らしたから、増やしたからといってもびっくりするほどには変わりません。
フロントを14丁にして加速重視か、16丁にして最高速重視かの大まかな方向性を決め、リヤの増減で微調整をする、あるいはフロントは15丁のままリヤの増減で味付けを変えるなど、スプロケット選びは考えるだけでもワクワクしてきて希望いっぱい夢いっぱいです。
※スプロケットの歯数を変更すると、車種によってはスピードメーターに誤差を生じる場合があります。メーター誤差が過大になると車検に合格しませんし、特に最高速が伸びる方向へのスプロケ交換においては、思わぬスピード違反切符に涙を流すことにも繋がりますのでご注意ください。
NC35型RVF 1994/01モデルの各種スペック詳細ページ | |||
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主要諸元 主要諸元と年間の維持費、燃費と航続距離 | エンジン エンジン性能と特性、パワーウェイトレシオ | タイヤ タイヤサイズ変更と加速力&最高速の変化 | 通知表 さまざまな性能評価の数値と偏差値&順位 |
【ギヤ比編】同車名または同型式の車種一覧 | |||
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VFR400R NC30型 (1989/01) | 59PS 4.0kgm 37.0km/L 78.0万円 | NC13E V型4 399cc [6MT] | |
VFR400Z NC21型 (1987/04) | 59PS 4.0kgm 44.2km/L 78.0万円 | NC13E V型4 399cc [6MT] | |
VFR400R NC24型 (1987/03) | 59PS 4.0kgm 44.2km/L 78.0万円 | NC13E V型4 399cc [6MT] |